今日は、枚方納税協会の研修会、渋谷和宏氏の講演会に参加しました。
テーマは、「これから注目されるビジネスとは 〜消費税増税後の経営環境・消費動向をどう事業に生かすか〜」でした。
渋谷和宏氏は、1984年に日経BP社に入社、日経ビジネスの編集部を中心に活躍、日経エンタメや日経アソシエにも携わり日経ビジネス副編集長を最後に昨年退社された方で、井伏 洋介のペンネームで小説も執筆されています。
「日経ビジネス」は、私の愛読週刊経済誌です。現在のような週刊でなく隔週刊の時から購読していますのでもうかれこれ30年以上購読していることになります。
今日の講演内容に戻ります。
大きなテーマは3つでした。
① 今、日本経済に起こっている本当のことは何か?
② 「変化の芽」をうまくつかみとって成功した企業の事例
③ では、「変化の芽」(ヒント)をつかむためにはどうしたらいいのか?
まず、①日本の経済の現状をどう見るかについてです。
・ 消費税増税後の日本経済に何が起きているか
→ 消費税8%アップにより経済の腰折れ状況がみられる。
3割くらい割り引いて受け止めたらいいといわれる、内閣府が出している「月例経済報告」においても、個人消費について、9月の天候不順による「足踏みしている」の表現が、10月においても「このところ足踏みがみられる」の表現になっているなど
一方、高額商品が売れている。(中国人でなく日本人、中でも高齢者が買っている。)
→ ビールの消費量が減少しているのに「アサヒプレミアム」を代表とする普通のビールより価格が高い「プレミアムビール」の売り上げが伸びている。
→ 東京銀座の百貨店で高額の時計(50万円以上)の売れ行きが好調
次に、「変化の芽」をうまくつかみとって成功した企業の事例です
普通は売れるはずがないのに売れているものの分析です。
・ 「オートバイが爆発的に売れている」
団塊の世代が65歳を超えた2012年から起こった現象に対し、バイクメーカーは、団塊の世代の動向をキャッチし、燃費の改良や世界的な部品の共通化を推進しコストダウンを図り、団塊の世代のニーズに応えた。
・ 「フルサービスの喫茶店」
名古屋を拠点とする「コメダ珈琲」が全国展開、東京でも爆発的に店舗拡大している。
これらの基にあるのが、アベノミクスにより株価が上昇(民主党政権時より大幅な上昇)し、団塊の世代の資産が増加し、「資産効果」により高額商品の購入につながっている。
「シニアシフト」がすべての業種で起こっている。
→ 「シニアシフト」にビジネスチャンスがある!
では、なぜオートバイメーカーはこの「シニアシフト」なる「新たな変化の芽」をつかみとることができたのか?
そこには。「危機意識」があり、2011年からシニアが直接店に足を運ぶ「新たな変化の芽」を現場がつかみとり、それに対応する生産、商品を見直したことによるものです。
PILOTの例もあります。
リーマンショック後、企業の経費節減を受け、文房具の企業購入が激減するなか、
自分で文具を買い求める「OLの消費行動の変化」(自費で買うならいいもの)を現場のセールスマンがつかみとり、「消えるボールペン=FRIXIONフリクション」の開発・大ヒットにつながったのです。
フリクションはhttp://www.pilot.co.jp/products/pen/ballpen/gel_ink/frixionball3/
では、「変化の芽」をつかみとるにはどうしたらいいのでしょうか?
イトーヨーカ堂竹の塚店の店長山本孝英さんのケースです。
店内で立ち話をしている主婦の会話からヒントを得て、従来の地元住民向け商品構成から、新興住民の嗜好を取り入れた商品構成にして、売り上げの大幅なアップにつなげている事例です。
「変化を察知したキッカケ」 ← 「従業員が聞いた主婦の立ち話」
このお店、全国から店舗見学が絶えないとのことです。
詳しくは、http://www.nikkeibp.co.jp/archives/210/210399.htmlをごらんください。
要は、「変化をとらまえる」ためには、常識や既成概念にとらわれず、”聴く力”があった。またそれをマネイジメント段階で実行に移す決断をしたということです。
枚方納税協会の研修、非常にいい企画でした。
次回の企画を楽しみにしています。
渋谷和宏さん