特定の株主だけから株主を取得する場合の「売主追加請求権」の通知について(未定稿)

特定の株主からの合意による自己株式の取得

「特定の株主からの合意による自己株式の取得」をするには、
 売主株主と事前に株数、金額等を打ち合わせて本人に通知するとともに、
② 他の株主に平等に知らせて、売る機会を与えなければなりません。

そして株主総会を開催し、誰から買うかを決めるために、
通常2週間前までに、株主に株主総会開催の通知とともに
①と同等の内容や「あなたにも売主として追加してもらえる権利があるので、売りたい株主は、
その意向を株主総会の議案とするため、株主総会の5日前までに会社に対して請求できます」

旨の通知が必要です。

したがって、「特定の株主からの合意による取得」の場合には、
主総会において1株当たりの取得価格が株主にオープンとなり、
主追加請求権の保障がされていますので、
会社にとっては追加的に株式の取得をせざるをえないことになります。

「特定の株主からの取得(会社法160条)」の場合には、
「ミニ公開買い付け」により取得する場合のように、
取得株数及び株式を取得するのと引き換えに交付する金銭等の総額が
株主総会の招集通知により明らかにされないので、
売主追加請求権を行使することを総会の5日前までに会社に通知しても、
買取に応募するか否かの最終判断は、総会の会場で行うこととなります。

したがって、売主への応募はしたけれども価額に不満であるので、
売却をしない意思決定をした場合には修正案を提出して
売却株主から離脱するという手続きが必要となります(会社法304条)。

当然その後、離脱した「売りたい株主」は、さっきの総会での価格を参考にして、
もう少し高い値段をつけて新たに「譲渡承認請求」を起こしてくることが想定されます。
つまり、譲渡制限株式は、これまで一般の常識的には売れないと思っていたのに、
ある程度の金額で売れることが「通知」でも「総会」でもわかることによって、
寝た子を起こすようなことになりはしないかという懸念が会社によってはあります。

一方「譲渡等承認請求」のほうも特定の株主からの取得には違いありませんが、
係る特定の株主との相対取引になり、
株主総会の特別決議事項も譲渡承認請求者の氏名・名称を明らかにした上で、
対象株式を買い取る旨とその数を決議するだけであり、
買取価格については総会後に譲渡承認請求者との別途協議となります。
ただし後述するように、法務局「供託金の供託」や「株券の供託」といった手続きがありますが、
法務局への供託金の供託は、
会社側に買い取り資金が既に用意されていることを証するものであり、
譲渡等承認請求者たる株主に対する保護規定であるので、
譲渡等承認請求者の承諾があれば、金銭の供託が不要であると解されます。

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