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見ないフリ「見たくない現実」( 気になるphrase15 )

国民の皆がわかっていて、そして「見たくない現実」として確実にやって来るのが「25年問題」です。

1947~49年生まれの団塊の世代を中心とする年齢層がほぼ全員、75歳以上の後期高齢者となる、日本の財政にとって大きな節目あと10年足らずにやってくる2025年です。
放っておくと医療、介護、年金という社会保障費が急増し、財政危機の引き金となりかねないということで、「25年問題」といわれています。

「中長期の経済財政に関する試算」について、内閣府は毎年試算を公表していますが、ここ数年はずっと推計の最終年度を23年度に据えおいたままなのだそうです。

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「なぜ23年度までなのか?」と元衆院議員で東京財団の研究員である亀井善太郎氏は内閣府にただしてきたが、「それより先は示せない」の一点張りだったといいいます。

「そんな中で、公明党の西田実仁参院議員ら超党派の国会議員が、国会に「経済財政将来推計委員会」をつくる法案を準備している。米議会予算局(CBO)を参考に、政府とは独立した国会の委員会が中長期の財政見通しを示せるようにする。

 法案のミソは、委員会が今後10年程度の中期見通し、30~50年程度の長期見通しをそれぞれ出すと明記した点だ。実現すれば、25年度以降に財政の持続可能性が危ぶまれるかもしれない日本の「見たくない現実」(亀井氏)に光があたる。

 米国でも、CBOは米行政管理予算局(OMB)より厳しい経済前提で財政の将来を推計しているという。日本でも、緩みがちな政府の財政運営を監視する国会の役割は今より大きくていい。」と日本経済新聞社の瀬能繁編集委員は6月21日の紙面で記事を掲載しています。

長期的な数値見通しを元に「現実を見る目」を私たちは持たねばならないと改めて感じました。

参考:(けいざい解読)財政健全化計画の盲点 25年度問題、見ないフリ :日本経済新聞2015.6.21

「マネジメントの父」と呼ばれるピーター・ドラッカーは日本画を熱心に集めていた (気になるphrase14)

今朝の日本経済新聞のお『春秋』のドラッカーと日本画の関係、なるほどと思いました。

▼「マネジメントの父」と呼ばれるピーター・ドラッカーは日本画を熱心に集めていた。なかでも好んだのが室町時代の水墨画だった。何が経営学の泰斗の心をとらえたのだろうか。「山荘コレクション」と名づけられた収集品の展覧会を開催中の千葉市美術館を訪ねた。

▼彼のお気に入りのひとつだったという、鑑貞作「春景山水図」。人物が広い岸辺から川を眺め、向こう岸には、かすみがかかった寺の堂塔が浮かぶ。人の背後に立つのは、背の高い樹木と急峻(きゅうしゅん)な山。「少ない筆で画面を切り分けながら空間を作る」という解説がある。空間に見る者を引き込んでいく力があるように思える。

▼室町の水墨画とは、禅僧がせわしない日常から抜け出して、清明な精神の世界、創造の世界に入っていく場所を与えるものだった――。そうドラッカーは講演で語っている。自分も、見れば「絵の中に入り込んでしまう。その中で別の人間になる」のだと。「世界への視野を正すために、私は日本画を見る」と言っていた。

▼そうして虚心坦懐(たんかい)に世の中の動きと向き合って生まれたのが鋭い洞察だったのだろう。「知識こそ資本」「社員はコストでなく資源」。本質を突いた見方は日本の文化遺産が関わっていたと考えれば、経営学の巨人も身近になる。作品を生んだこの国から、世界を動かす経営思想があまり出てこないのは寂しい気がするが。
(日本経済新聞2015年6月8日朝刊1面)

自由に使えるのは時間予算の3割 (気になるphrase13)

今日は、元東レ経営研究所 社長の佐々木 常夫さんのお話からです。

「時間予算」というのがあって、1週間後に10時間あるとしても、仕事が中断されることが多々あり、また突発的なことも発生します。「10時間ある」と思っても(「10時間の時間予算があっても」)、「実際はその3割の3時間」しか使えない。

これが実際だというのです。

まさに、そのとおりだと思います。いつの間にか時間が経っていて、結局タイムリミットが迫ってきてバタバタとヤッツケ仕事になるということを繰り返してきました。

「時間予算の3割」
これをよく考えて実行していきたいと思いました。

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佐々木常夫さんの手帳(日経プラス10 2014.1.29から)

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「金メッキ、塗り続ければ金になる」 (気になるphrase12)

「金メッキ、塗り続ければ金になる」

ハイアール傘下のハイアールアジア株式会社の伊藤嘉明代表取締役社長兼CEOのインタビュー記事に出てきたことばです。

出典は不明で、誰が言ったかはわかりません。

「よく『いえいえ、私はそれのプロではないので』などと言って何かのお願い事を避けようとする人がいますよね? 私はそれっておかしいと思うわけです。誰だって最初から何かのプロではない。イチロー選手だって、努力をしたから超一流のプロになったわけです。ですから生きる姿勢を示す言葉として、これも挙げておきたいと思います。」
(キャリアインキュベーション株式会社のインタビュー記事「プロ経営者になる 経営者インタビュー」から引用しました。)

 以前のブログで「1万時間の法則」を紹介しましたが、同じ部類に入ると思います。
金メッキでいいから塗り続けようとおもいます。

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花燃ゆ(第1回) 寅次郎の台詞から (気になる Phrase 11)

第1回「花燃ゆ」での寅次郎こと吉田松陰が、藩校・明倫館にて論じているときの台詞です。

「例えよこしまな本を読んだとしても、
己の頭で考えれば何が佳く何が悪いか人は分かるはずです!

己の頭で考える事ができる者は、
かぶれも染まりもしません。

ただ覚えるだけではなく考える事!
それを教えてくれたんは叔父上です!

それにその本は、よこしまな本などではありません。

なぜ皆が禁じられた本を読もうとするんか。

知りたいからです。
学びたいからです。
変えたいからです。

今までの学問じゃもう日本国は守れん!
本当にこん国の事を思う者は知っとる。

死に物狂いで学ばんにゃ、
こん国は守れんと!

皆に問いたい。
人はなぜ学ぶのか?

私はこう考えます。

学ぶのは知識を得るためでも、
職を得るためでも出世のためでもない。

人にものを教えるためでも、
人から尊敬されるためでもない。

己のためじゃ。
己を磨くために人は学ぶんじゃ」

時代を越えて、現在の私たちにも当てはまる言葉だと思います。

吉田松陰、松下村塾の塾長で数々の若者を育てたその功績は図り知れませんが、29歳で亡くなったとは信じられません。

 

 

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「小善は、大悪に似たり」 (気になるphrase10)

自分の子供がかわいいばかりに溺愛し、甘やかし放題に育てたところ、その子共が成長したあかつきにはロクでもない人間に育ってしまった、ということがあります。

また、サラリーマンであった若いころを思い出しますと、厳しく指導をされ当時は非情な人だと思っていた上司が、今思うと一番記憶に残り、厳しく指導された内容があとになってよく理解ができ、あの時良くぞ厳しく指導をしていただいたと思うことがあります。

先日、1月5日の今年の初放送で
“稲盛和夫×人間国宝・志村ふくみ
人は何のために生き、働くのか”
をテーマに、新春特別対談が放映されました。

京セラ名誉会長で稲盛財団理事長の稲盛和夫氏と紬織りの無形文化保持者で人間国宝の染織家志村ふくみさんに、二人が辿りついた働くことについての極意が特集のポイントでした。

その対談のなかで稲盛和夫さんの発言です。

『リーダーは、愛情をもって部下に接していかなければなりません。しかし、その愛情は、いわゆる溺愛であってはならないはずです。

“大善と小善”ということばがあります。image

たとえば、かわいいために子どもを甘やかし、そのために成長するに及んで、人生を誤ってしまうということがあります。逆に、子どもを厳しく教育し、しつけていくことによって、素晴らしい人生を歩むということがあります。前者を小善、後者を大善といいます。

職場においても、様々な上司がいます。その中には、部下の意見を聞き、若い人たちがやりやすいようにしてあげる優しい上司もいると思います。しかし中には、非常に厳しい上司もいると思います。

もし、信念もなく、部下にただ迎合している上司ならば、決して若い人たちのためになりません。それは若い人たちにとって楽ですが、その気楽さは彼らをだめにしていくはずです。長い目で見れば、厳しい上司の方が、部下は鍛えられ、はるかに伸びていくはずです。』

短絡的に良かれとすることが、本人にとって本当にいいことなのかどうか、リーダーは、部下への真の愛情を見極めなければなりません。

ハッと気付かされた言葉です。

 

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「1%の力」 鎌田實

いい本に出会いました。

鎌田實、諏訪中央病院名誉院長の「1%の力」という本です。

1%が人生を変えた本当の話、がいっぱいです。

<あとがき>より

「1%は誰かのために生きてみてください。
幸せにする。幸せになる。負けない人生が始まります。
人生がおもしろくなる。生きるのがラクになります。
1%は小さいけれど、とてつもない力を持っている。
みんなが『1%』生き方を変えるだけで、個人も社会も幸福に近づく。
かけがえのないすべての人に、この本を贈ります。」

読みやすく、わかりやすい本です。

実践します。

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「1万時間の法則」 (気になるphrase 9)

世の中には、「1万時間の法則」があるらしい。

スポーツを含めた、ある一定のレベル(世界的なレベル)に達した人は例外なく1万時間にわたる修練の期間があるというのです。

1日に3時間なら10年近く。

18歳でゴルフの史上最年少賞金王に輝いた石川遼選手。

彼にそんなことができたのか?

6歳からゴルフを始めた石川選手は、
小学校4年生の時にはもうすでに「プロゴルファー」を目指していた。

放課後、校庭でランニングをこなした後
ゴルフ練習場で約500球を打ち込んでいたという。

まさに「1万時間の法則」に当てはまる。

「天才的な才能」があって、そこに「1万時間の努力」が相まって、世界に挑戦できるまでになるとは思いつつも、
凡人の小生、今年も何もできなかったと反省の師走。
来年こそはと思うこの頃であります。

 

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「年をとった方が断然頭は良くなる」=「結晶性知能」 (気になるphrase 8)

人の名前が思い出せない。
ついさっき何かをしようと思ったのに、何をしようとしたのか覚えていない。

もう認知症に近づいてきたのか?

こういった悩みを毎日のように感じているのは、私だけではないと思います。

そこで、脳科学が専門の諏訪東京理科大学・篠原菊紀教授がこれにズバリ答えています。

「年をとったほうが断然、頭は良くなる」
こう篠原教授は言っています。

篠原教授によると、頭の良さには大きく「流動性知能」と「結晶性知能」があるそうです。

「流動性知能」は、計算力や暗記力、集中力、IQ(知能指数)など、いわゆる受験テクニックに反映されるような知能のことで、
この知能は18~25歳くらいがピークで、その後は徐々に落ちていき、40代以降になるとガクンと低下するそうで、これは私も実感しています。

一方、「結晶性知能」は、知識や知恵、経験知、判断力など、経験とともに蓄積される知能のことをいうそうで、
こちらは年齢とともにどんどん伸びて、60代頃にピークを迎えるそうです。

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「結晶性知能」は年齢とともに伸びていきますが、「ある時点で飛躍的に伸びる」ものだそうです。

例えば、仕事でも新人の頃はひたすら知識と経験を増やしていくしかないが、ある程度それらが増えると、
『あの情報とこの情報がつながる』とか、
『そういうことだったのか!!』と
目からウロコの体験が増えて、一個一個の知識が連動し始める。その結果、理解力が増したり、いいアイデアが生まれたり、判断力に磨きがかかったり、マネジメント能力が向上したりする。

年齢とともに脳細胞自体の数は減っていくが、頭を使えば使うほど、つまり結晶性知能が伸びれば伸びるほど、脳細胞の分枝が増えてネットワークが密になる。いわば、脳細胞同士が手をつなぎ、連動して動き出すようです。

私の頭もまだ良くなる“伸びしろ”があると思い直し、これからもどんどん伸ばしていこう!と思った記事でした。

日経新聞WEB版 ヘルスコーナー「Gooday」から引用いたしました。

Profile 篠原菊紀(しのはら きくのり)さん
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諏訪東京理科大学共通教育センター教授
1960年、長野県生まれ。東京大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在、諏訪東京理科大学共通教育センター教授。専門は脳神経科学、応用健康科学。学習、遊び、運動など、日常的な場面での脳活動を調べている。「私自身、受験勉強をしていた頃よりも、今のほうがずっと頭がよくなっています。そして90歳になったときにはもっと頭がよくなっているはず。その時を今から楽しみにしています」。

「羽田クロノゲート」の衝撃 

昨日の「日経プラス10」に、ヤマトホールディングスの木川眞社長が出演されていました。

私自身、ネットで本などの購入を良くします。Aaonはよく利用するサイトで、その便利さを実感してしまうと、元の購買形態には戻れないと思っています。

Amazonのサイトの作り方も利用しやすいように作られており、特に本など、書店で実際に手に取ってみるより、「カスタマーレビュー」が非常に参考になります。(本屋さんに行くと、表紙のキャッチコピーなどで無駄買いをしてしまうことが多々ありました。)

本題に戻ります、Amazonの配送で気になっていたことがあります。
当初は、ヤマトの配送だったのですが、途中から佐川急便に変更になり、またヤマトに戻っています。
佐川に変更になった時に感じた”違和感”がヤマトに戻って消えました。

その元には、ヤマトの物流や配送サービスに対するポリシーがあると思います。

かつて「宅急便」でイノベーションを起こしたヤマトホールディングス。
宅配便の取扱い個数は、ヤマトの「宅急便」だけで15億個(2012年)、国内全体では35億個(2012年)に上っています。

アマゾンや楽天が牽引する通販市場の急拡大に伴い、消費者のニーズは、購入した商品をいち早く、指定した時間に、確実に届けてほしいということで、要求水準は高まる一方です。

膨張しつづける荷量はもう限界にきているようで、木川社長は、宅急便の仕組みを作り直すことが喫緊の課題としてとらえていました。

ポイントは、
・ 現場がパンクする前に自らの物流モデルを切り替える。
・ 東京・名古屋・大阪の3都市にゲートウエイ(GW、ベルトコンベヤーが縦横無尽に走る大型の物流ターミナル)を作り(一つで投資額約200億円)、GW間は日中から多頻度配送する(今までは、溜めておいて夜中にまとめて配送)ことにより、当日配送を実現する。
・ このGWの機能を使って、製造工場でのジャストインタイムをアシストする。沖縄にある「沖縄国際流通ハブ」を使いアジアの生産拠点に「翌日配送」を実現する。
・ 今までの物流業の「物を置いておく」から、荷物が流れ続け、流れる間に付加価値をつける。

凄いことが起こっているということは分かっても、、私自身実際のところはよくわかっていませんが、「羽田クロノゲート」と、「東名阪のゲートウエイ」、そして、「沖縄国際物流ハブ」が組み合わさって、流通だけでなく生産まで大きな変化が起こりそうで、実際に動き出す来年からが楽しみです。

 

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(日経ビジネス 2013.9.16号より)