親族外の「小数株主」の対策(未定稿)

株式が分散してしまうと、なぜいけないのか?

株式が分散してしまうと、
① 株主代表訴訟の可能性が高まる。
② 株価は通常高く評価されますから、買取請求を起こされる可能性がある
③ リーダーシップを取りにくいなどの経営権の問題があります。

したがってなるべく株式は分散しない方が好ましいわけですが、
れでも分分散してしまった理由には次の4つがあります。

1 昔は株式会社を設立するのに最低7人の発起人が必要だったために
名義を借りてそのまま放置してしまい
権利が確定した結果分散したということがよくあります。
平成2年の商法改正前は、株式会社の設立のためには
最低7人の発起人が必要でした。
発起人は最低1株を引き受けねばならなかったために、
極端な場合には出資金は社長が7人分を出して、
名義を借りたために「名義株」が生まれてしまったのです。

2 株式に譲渡制限が付されていても、株の相続人へ株式は分散してしまいます。
相続は長期的には必ず生じるので、株式は放置しておけばどんどん分散してしまいます。
要所要所で集中する必要があります。

3 暦年贈与使って内孫のみならず外孫まで幅広く自社株を贈与するなど、
相続税節税のみに偏った対策、
結果株式が分散してしまうこともあります。

4 株式公開や民主的経営を標榜して、
「皆で儲けて、配当得て頑張ろう」などと、
役員や従業員へモチベーションアップ目的で株を模索持たせた結果、
分散したと言うケースもあります。

では、なぜ「株式が分散」してはいけないかを検討します。

従来は、訴訟を起こすには多額の訴訟手数料がかかりました。

しかし、現在ではわずか13,000円で提訴が可能なのです
(民事訴訟費用等に関する法律4条日2項、別表1)
原因は、株主総会の多数決で負ける被支配株主が、
お上に訴えて不満をぶちまける私怨型や、
役員の不正取引を糺す例が多いのです。

国会の議事録によれば、
株主代表訴訟の80%以上が中小企業におけるものです。

例えば、私怨型では、
夫婦喧嘩や親子・親戚とのお家騒動のはけ口とし
会社経営の不満と言う準公的な形に変えて出てきます。
その時に重箱の隅をつつくように不正取引、
例えば中小企業では社長の独断で私的な取引が行われやすい、
高級車、別荘の購入や飲食代の付け回し等が標的にされます。
それらの取引の結果、利益が減ったり、赤字になったりすれば、
会社にとっては不利益となります。
そこで会社の所有者である株主の1人が、たった1株でも持っていれば、
「役員が会社に損害を与えたから、(自分にではなく)会社に対して弁償しなさい」
と訴えるのが株主代表訴訟です。
だから訴えた本人には直接利益は無いのですが、半ば嫌がらせができるわけです。

負けやすい株主代表訴訟大企業では株主の追求が普段から多く、
主総会などの対策のためにも、経営上の意思決定は取締役会の決議によってなされ、
法的な証拠残しつつ行われます。
しかし、中小企業では、取締役会はおろか株主総会ですら
開いたことにした」と言うのも少なくありませんから、
一旦ことが起こると証拠書類もありません。
また中小企業では株主が身内であることも手伝って、
訴訟になる前に、会社内部の情報が漏れやすいため、
例えば株主総会は後から議事録だけ作ったなどの証拠も
先に掴まれて訴訟準備がなされますから、
経営側は非常に負けやすい構造になっています。

株主代表訴訟を起こされないために

株主代表訴訟を起こされないためには、
① 安易に第三者に株式を持たせないことが最も大切です。
この場合の「第三者」とは社長自身と後継者以外を指します。
② 本業以外のリスクを有する事業に手を出さない。
③公私混同を行わない。
④日常的に法令遵守を意識して経営することが重要です。

しかし、特に③④等は、正直なところ非常に困難を伴います。
したがって小規模のうちは①を守ることが肝要です。
ただ規模が大きくなり、資金調達等の面から株主が増加するをえなくなった場合に
②以降の配慮は欠かせないのです。
なお、単元株式制度導入すれば、定款に定めることにより、
単元未満株主には株主代表訴訟権は付与されません
(会社法847 ①、189 ②)。

それでは、少数株主から株式を取得するのはどうすればいいのでしょうか?
NEXT ☞こちら「株主の相続」で分散した株式を取り戻す。

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