自分の子供がかわいいばかりに溺愛し、甘やかし放題に育てたところ、その子共が成長したあかつきにはロクでもない人間に育ってしまった、ということがあります。
また、サラリーマンであった若いころを思い出しますと、厳しく指導をされ当時は非情な人だと思っていた上司が、今思うと一番記憶に残り、厳しく指導された内容があとになってよく理解ができ、あの時良くぞ厳しく指導をしていただいたと思うことがあります。
先日、1月5日の今年の初放送で
“稲盛和夫×人間国宝・志村ふくみ
人は何のために生き、働くのか”
をテーマに、新春特別対談が放映されました。
京セラ名誉会長で稲盛財団理事長の稲盛和夫氏と紬織りの無形文化保持者で人間国宝の染織家志村ふくみさんに、二人が辿りついた働くことについての極意が特集のポイントでした。
その対談のなかで稲盛和夫さんの発言です。
『リーダーは、愛情をもって部下に接していかなければなりません。しかし、その愛情は、いわゆる溺愛であってはならないはずです。
“大善と小善”ということばがあります。
たとえば、かわいいために子どもを甘やかし、そのために成長するに及んで、人生を誤ってしまうということがあります。逆に、子どもを厳しく教育し、しつけていくことによって、素晴らしい人生を歩むということがあります。前者を小善、後者を大善といいます。
職場においても、様々な上司がいます。その中には、部下の意見を聞き、若い人たちがやりやすいようにしてあげる優しい上司もいると思います。しかし中には、非常に厳しい上司もいると思います。
もし、信念もなく、部下にただ迎合している上司ならば、決して若い人たちのためになりません。それは若い人たちにとって楽ですが、その気楽さは彼らをだめにしていくはずです。長い目で見れば、厳しい上司の方が、部下は鍛えられ、はるかに伸びていくはずです。』
短絡的に良かれとすることが、本人にとって本当にいいことなのかどうか、リーダーは、部下への真の愛情を見極めなければなりません。
ハッと気付かされた言葉です。