今週、枚方税理士研究会の研修からの話題です。
今回は、相続税に入る前の、民法の話です。
亡くなられた被相続人の相続財産には、現金や銀行預金、土地建物などがあります。
これら相続財産は、当然遺産分割の対象だと私は思っていました。
でも、違ったのです。
銀行預金は、相続財産ではありますが、「法定相続分で当然分割されるるため、遺産分割の対象ではない」との最高裁判決(昭和30年5月31日)が出ているのです。
ただ、実務上(朝廷・審判)は、相続人全員の同意を得て遺産分割の対象としているのが現状です。
ただ、相続人の一人でもこれに明確に反対すれば、遺産分割の対象から外れ、法定相続分での相続となるわけです。
また、裁判になれば、不動産や証券などの遺産は、裁判所が各種の事情を考慮して、誰に何を相続させるかということまで取り決めますが、ここで預金と他の相続財産は扱いが異なり、裁判官は、各相続人が当然に、法定相続分に応じた預金払戻請求権を分割取得するという立場をとります。
また、銀行側の事情もあります。
相続人が故人の預金を払い戻そうとする場合には、銀行は、通常相続人全員で払戻用の書類に署名押印することを求めてきます。
銀行の側からすると、個々の相続人からの払い戻し請求に応じてしまうと、あとで他の相続人から既に払戻した部分まで二重に請求をされたり、双方の主張に巻き込まれて混乱する危険性が無いとは言えませんから、それを理由に全員の署名と実印を要求してくるわけです。
相続対策を考える上で、少し考えておきたい知識でした
※ このコラムは、黒瀬j法律事務所 弁護士黒瀬英昭先生の研修「相続・遺言・事業承継実務 ~弁護士の活用法~」の内容の一部を私なりに取りまとめたものです。
黒瀬法律事務所のホームページはhttp://www.kuroselaw.com/です。