nikkei_2013.10.23

相続税の課税強化

平成25年度税制改正において相続税か改正され、この平成27年1月1日以降発生する相続から新しい税制が適用になります。

ポイントは、相続税の基礎控除が引き下げられ、

  5000万円 + 1000万円 × 相続人の数
              ↓
  3000万円 +  600万円 × 相続人の数

に大きく引き下げられることになったのです。

バブル期に土地の評価額が上昇し、相続税の負担が大きすぎることとなったことから相続税の基礎控除額が引上げられていたのですが、昨今の引き続くデフレ経済情勢から土地の価格が下がり、相続税の基礎控除額も引き下げられたというのがその背景です。
これにより、今まで相続税がかからないと安心していた方々でも、相続税がかかる可能性が大いに出てきたというのが今の状況です。

相続税がかかるかもしれない、という方は、相続税節税のための対策を考えることが必要かもしれません。

そこで、相続税対策の基本でもある「相続税対策の5原則」を紹介します

 


相続税対策の「5原則」


相続税対策には、さまざまな方法があります。
それをおおまかに整理すると5つの原則にまとめることができます。相続税の対策は、この5つの原則を中心に考えると理解がしやすくなります。

これらについて順次説明をしていきます。 これら相続税のことを考えるに当たっては財産評価を大まかでもいいですから事前に検討しておくことが、相続対策を進めるための前提になります。


対策その1 :相続人数を増やして税率区分を下げる


相続税は累進課税の段階税率になっています。そのため、相続人の数を増やせば全体の相続税を減らすことができるわけです。

一人当たりの相続額を少なくして低い税率になれば、納税額は減ります。相続人が一人増えるごとに基礎控除額が600万円増加します。

ということは、そこで考えられるのが「養子縁組制度」によって相続人を増やすという方法です。

養子縁組をすることで、相続人の一人当たりの相続分が少なくなります。気をつけないといけないのは、民法上は、養子縁組は何人でも可能ですが、相続税法では、実子がいる場合には養子は1人分しか相続税の計算上認められませんが、600万円の基礎控除額の加算が認められます。実子がいない場合は2人まで認められ、基礎控除額は1200万円になります。

このほかにも、生命保険と退職金の非課税枠(法定相続人一人500万円)が増えます。


対策その2 相続財産の評価額を下げる


土地・建物は、利用状況に応じて財産評価基本通達により評価減することができます。

更地で土地を持っている場合は、そこに建物を建てることで相続税評価額を大きく下げることができます。中でもアパートやマンションを建てて人に貸すことは、多くの地主さんがとっている典型的な相続税対策です。これは所得税、固定資産性の節税にもつながります。

また一定の条件に当てはまると小規模宅地等は50パーセントの評価減が受けられますが、さらに一定の条件を満たすと、特定居住用小規模宅地として80パーセントの評価減になります。この条件にあてはまるように持っていけば土地の評価額が下がりますから、相続税額も下がります。


対策その3 借金を作る 


借入金の残額は全額債務控除となるので、相続税を大きく減らす効果があります。

対策その2の更地に建物を建てる場合時に借金をしたとすると、さらに効果的な相続税対策となります。

ただしその借金は返済可能なものでないと、返済に苦労することになります。返済可能な範囲で借金を作るのがいいということになります。


対策その4 生前贈与をする


財産を被相続人の名義で持ち続ければ、死んだ時には当然ながらまるまる相続税の課税対象になります。

だから生前に手放せるものは手放すようにした方がいいのです。子供や孫に生前贈与して、財産を減らすことを考えてみてください。

贈与税は高い、という先入観があるものですが、年間110万円までの基礎控除のほかに活用できる特例がいろいろあります。ただし相続が発生した時点から3年以内に贈与されたものは、相続税の対象なってしまいます。だからなるべく早く生前贈与を始めた方がいいのです。


対策その5 納税資金として生命保険と自己株式を活用する


ここまでやっても巨額の税金がかかってくる場合もあります。そこで地主さんの場合、納税資金にあてる目的で大口の生命保険に加入するのが一般的です。

相続が発生するとすぐに現金が用意できるし、保険の掛け金を払うことで、相続財産を減らすことになります。

また、事業を経営している場合は、全財産を会社につぎ込む人がよくいます。会社の内容が優良であればあるほど株価も高くなりますが、未上場会社の場合は一般市場性のない株ですから売りたくても売れません。それでも万一の時には高い株価に対して相続税が課税されてしまいます。

これについては商法の改正で、自分がオーナーであった会社に一定量の株を買わせることができるようになりました。そのことにより、会社が株を買い取ったお金で遺族が納税できるようになっています。

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