定款の見直し (工事中)
最近事業承継について、
クライアント様からご相談を受けたり質問受けたりすることがあります。
平成30年に改正されたいわゆる特例事業承継税制ですが、
以前にも書きましたが、少し誤解があって、この特例を受ければ、
相続税が「安くなる」「免除される」といったような誤解があるようです。
※確かに免除されるケースはありますが、特例打切のリスクが非常高いのも現実です。
また銀行などが、企業のオーナーに対して、
この特例事業承継税制の利用を勧めていることもあって、
経営者の方が悩まれているようです。
この特例の全体を理解することは専門家の税理士でも難しく、
プロセミナーの講師でも、間違った説明をしていることがあります。
(間違った説明というより、部分的な説明で、さらっと聞いていると、判断が誤るという意味。リスクを説明していないケースが多い。)
この制度は平成20年10月施行の「経営承継円滑化法」から始まりました。
その後この法律も数回の改正を経て、「親族への承継」に加え「従業員等への承継」も可能となりさらに要件の緩和も進みました。
この特例の納税猶予に関心が行きがちですが、
円滑化法はあくまで、民法の特例です。
円滑化法の認定には以下の3つがあります。
1、民法(遺留分)閉じる特例の認定
2、金融支援の認定
3、自社株の納税猶予のベースとなる要件の認定
この3番目のが、特例事業承継税制と言われているものです。
これら特例事業承継税制を受けるかどうかを検討検討していく中で、
事前に整理しておかなければならないことがたくさんあることに気づきました。
大きな発見といいますか、税理士をしていて少し恥ずかしいな、
と思ったことであり、それは、「会社の定款」の問題です。
定款見せてほしいといいますと、
「どこにはあるかわからない」「見たことがない」
と言うような返事がいくつかの会社から返ってきました。
定款の一部が、会社登記簿として公開されています。
それを見ますとまだ「株式株券発行会社」である会社が
いくつかあることがわかりました。
「株券発行会社」となっていますが、
株券を発行している会社はほとんどないでしょう。
また、株式の「譲渡制限」がついていない会社もあります。
これらをどう整理し、会社の運営のために株をどうするか
(経営者・後継者に株を集中させる)
といったことの方針をたてて
「事業承継」問題を検討すべきだと、
いまさらながらおもっています。
2019.6.3
特例事業承継税制への疑問
最近、金融機関やコンサル会社等から
「この制度を使えば、自社株の納税は大丈夫!」という話
を聞かされた方が多くおられます。
本当のところはどうなのか?
いろいろと調べていくうちに、
そんなにうまくいかないのではないかと考えるようになりました。
日本経済新聞の2018年8月23日の
「迫真 迫る大廃業時代」という記事の中で、
次のように書かれています。
「事業承継を円滑に進めようと4月に導入されたのが
「新・事業承継税制」だ。
税制優遇の大きさから、税理士らの間では
「事業承継バブルが起きる」とまでささやかれていた。」
「ところが、ふたを開けてみれば
新制度の利用をためらうオーナーが多い。
福崎の元に相談に来るオーナーの大半は新税制の詳細を聞いて考え込む。
それは、税優遇のらん用を防ぐため、
自分の子がその先の孫にまで事業を引き継いだ時点で、
ようやく免除される点だ。」
「東京・千代田の鳥飼総合法律事務所。
税務部長の高田貴史(53)は驚いていることがある。
今年に入ってから事業承継の相談に来た経営者10人弱のほとんどが、
事業承継税制を選ばなかっただけでなく、
種類株を発行し
事業承継の後も親に一定の支配権を残す形を選んだことだ。」