「正直者には、尊敬の的、悪徳者には畏怖の的」 (気になるphrase24)

「正直者には、尊敬の的、悪徳者には畏怖の的」

これは、1949年(昭和24年)6月10日に、東京・工業クラブで開催された「国税庁開庁式」において、ハロルド・モス氏が挨拶されたなかの有名な一文である。

所得税の申告納税制度導入の初年度に当たり、税収不足がはっきりしていた昭和22年11月、マッカーサー連合国最高司令官は、アメリカ合衆国内国歳入庁(日本の国税庁に相当)に対し、日本の税制・税務行政への助言のための適切な人材としてハロルド・モス(Harold J.Moss)氏を日本に派遣するように依頼しました。
モス氏は、昭和23年に来日後、総司令部機構の内部に日本の税制・税務行政を専轄する内国歳入課を創設し、日本の税務行政組織に関して改革を支指示し、そして、日本の税制の抜本的な改正のために、「シャウプ勧告」で著名なシャウプ博士を招聘することを企画したのです。
マッカーサーがモス氏を名指しで招聘したのには理由があったのです。
マッカーサーはフィリッピン時代にモス氏と個人的な接触を得ていました。以前に個人的な会話を交わしたときに、マッカーサーは、モス氏の優れた理論的・実務的識見に印象を受け、日本の税務行政改革のために助力するように依頼したのでした。

今の日本の税制の源流にハロルド・モス氏という大きな存在があったのです。

ハロルド・モス氏の挨拶で、彼は言います。
「個々の納税者の間に最大の公平を確立するためには、3つのことが欠くべからざる要件であります。
① その1は、税法と税率が、理論的に人々の間に租税負担を公正にに且つ公平に分配するものでなければならないということであります。
② その2は、納税者の側からの高度の協力ということであります。
③ その3は、政府の税法を確実に、しかしながら公平に施行し励行するための強力にして、能率的且つ誠実なる専門的行政機関がなければならないということであります。」

まさに的を射た言葉であります。

平成3年当時、大蔵省がモス氏を日本に招待し大阪に立ち寄られたときに、大阪国税局の企画課の担当係長としてアテンドさせていただいた時のことをふと思い出しましたので、おもいつくまま書いてみました。

モス氏

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